前職の社長の話
ブログの説明の通り、僕は7年強SEとして働き、今年の4月から公務員として第2の職業人人生をはじめました。
今日は前職の社長の話をしようと思います。
僕がはじめて社長に会ったのは、2007年の10月、採用面接の最終面接でした。
僕はとても緊張していて、本当は働きたくもないのに、こんなちゃんとした会社の応接室に通されてしまって、とにかく不安で、一体何を話せばいいんだろうと、慣れないスーツを着て汗をタラタラと流して、ソファーに借りてきた猫のように座っていたことを思い出します。
社長はとても背が高く、思っていたよりも若く、そしてちょっと威圧感があって、僕は余計にどぎまぎしながら挨拶をし、今となってはそのあと何を話したのかもよく覚えていません。
ただ、ひとつだけ覚えているやりとりがあります。
何か質問はありますか?と聞かれて、確か僕は「自動車免許持っていないんですけど、働きながら取りにいく事ってできますか?やっぱり忙しいでしょうし、無理ですよね?」と答えたと思います。
我ながら、本当にアホな質問だなと感心します。
社長は呆れた顔で「君な、何でもやる気になったらできんねん。やる前から諦めてどないすんねん!」と割とマジなトーンで説教されました。
面接で社長に説教されて、採用される訳ないじゃないですか、普通。
でも、何故か採用されたんです。有りえないでしょ、普通。
だいぶ後になって、社長と飲む機会があって、何で僕を採用したのか聞いてみた事があります。
社長は高卒で友達が起こした会社に入って、技術者としてバリバリ仕事をして、その後、その友達から会社を譲り受けて2代目の社長として就任されたという経歴の持ち主で、日ごろから僕たち社員には「エリートに負けるな!」と良くおっしゃっていました。
そういう発言の裏には、学歴に対する強いコンプレックスがあって、自分は学歴は無いけど、ビジネスの世界では絶対に負けない!自分の社員にも負けてほしくない!という想いがあったようです。
そして、そんな社長の前に、大学を中退して、おどおどして、不安や緊張が溢れ出した僕が面接に現れた訳です。社長は面接の細かい話は忘れてしまったようですが、やっぱり「どうしょうもないやっちゃなあ」と思ったようで、でもそれと同時に「こいつをどうにかしてやりたい!」と思ってくださったようです。
本当にありがたい。
社長のおかげでどうにかなりました。どうにかなって、会社にもそれなりに貢献できたと自負していますし、県庁に採用されるだけのスキルを身につけさせて頂きました。
世の中にはこういう変わった社長もいらっしゃって、どこにチャンスがあるかわからないな、というお話でした。
その後、社長とは色々とあって、最後の1年くらいまともに口をきかない状態でした。公務員に転職する事が決まって、退職手続きや社内の挨拶廻りをする時も、社長は東京に出張に行かれてて、結局会えず終いのまま、退職してしまいました。
どうにも恩人に砂をかけたまま旅立ってしまったような、居心地の悪さと、きちんとアポを取ってご挨拶に伺う、という事のできない自分の不甲斐なさが情けなく、こんなエントリを書きなぐっている次第です。
僕はこういうブログでの活動や、これからの公務員生活で「どうにもならないや」と絶望している人を少しでも「どうにかしてやりたい」と思っています。
社長とアプローチは違えど、同じ想いだと思っています。
いつかどこかで「その節はお世話になりました!」と胸を張ってお会いできるように、精進致します。